兵庫県姫路市を拠点に、Vリーグ機構の加入を目指す新たなバレーボールチーム「ヴィクトリーナ姫路」が発足し、その初代監督に、元全日本代表セッターの『竹下佳江』さんが就任されました。
2015年6月にご本人が執筆された本『セッター思考』が発行されてから、ちょうど1年経った今年2016年6月に、新チーム「ヴィクトリーナ姫路」の監督就任が発表されて、周りを支えることにかけては世界一のあの「竹下」がどんなチーム作りをしていくのか。とても気になります。
今回は、竹下佳江さんが「ヴィクトリーナ姫路」をどのように育てていこうとしているのかについて探ってみました。
目次
監督としての抱負
竹下佳江さんといえば、ロンドンオリンピックで『銅メダル』を獲得した全日本女子バレーの不屈のセッターでした。また、2011年のワールドカップでは、ベストセッター賞にも輝いた『名セッター』です。
全日本女子バレーが唯一オリンピックを逃した『シドニー』での逆境を乗り越え、見事『世界最小・最強セッター』として、世界が認める『名セッター』になられたのです。
竹下さんは、「チームの日本一と五輪でメダルを懸けて戦える選手の輩出を目指したい」と抱負を語っております。
監督オファーを承諾するまでの経緯
激しいバッシングの嵐で事実上の引退
全日本女子バレーボールが初めてオリンピックの切符を逃した屈辱の「シドニー」予選後、竹下佳江さんは、身長が159cmとバレボール選手としては、致命的な身長の低さを指摘され、猛烈なバッシングが浴びせられていました。「まるで犯罪者の気分」とご本人がおっしゃっていましたが、相当やり玉に挙げられていたのを覚えています。
その後、責任を取る形で、2002年所属していたNECを退社し、事実上「引退」しました。
しばらくは、実家の北九州に戻り、介護職になろうとハローワークに通ったりしていたみたいですが、そんな竹下さんをほっとくはずがなかったのです。
Vリーグ(現・チャレンジリーグ)昇格にかかせない
しばらくバレーボールから遠ざかっていた竹下さんですが、あるバレーボールの試合を友達と観戦しに行ったとき、当時のJTの監督「一柳昇」さんから、「ぜひ、一緒にVリーグの昇格と制覇を目指すという夢に挑戦してほしい」と再三の誘いを受け、西宮市に練習拠点を置く「JTマーヴェラス」で復帰したのです。
竹下さんは、「自分を必要としてくれる人がいる。その人に応えたい。」という熱い思いで、見事、Vリーグ昇格へと導くことができたのです。
そこからは、2004年のアテネオリンピック、2008年北京オリンピック、そして、銅メダルを獲得した2012年ロンドンオリンピックと3回連続出場することになります。2008年北京オリンピックでは全日本のキャプテンとして活躍されました。
また、2006年の世界選手権ではMVPを獲得しています。
引退したその後
身長が低いことで激しいバッシングを受けましたが、10年の間に、誰も身長が低いことにバッシングを浴びせる人はいなくなりました。むしろ、誰にも真似することのできない『名セッター』として、チームを支える司令塔として誰もが認める選手になっていたのです。
そして、2013年に引退をされました。
その後は、「日本バレーボール協会理事」を務めながら、バレーボールの普及活動をされています。
そして、実は、ロンドオリンピック直後に、プロ野球選手の「江草仁貴」さんと結婚されていることが発覚しました。2015年には、待望の第一子である男の子が生まれました。一児の母になったのです。
監督のオファーを承諾する
1年くらい前に、監督就任のオファーがあったそうです。しかし、竹下さんは、監督という仕事に興味がなかったことと、ちょうど、息子さんを出産されたばかりだったということもあり、1年以上、監督のオファーを受けるべきか悩んだそうです。
そこで、悩んだ結果、「子供に負担をかけず、母親が監督していくということで、働く女性に何かを伝えられるのではないか」という思いから、監督を承諾することにしたのだそうです。
順調な道のりではなかったのですね。
でも、やっと、チーム竹下が始動したのです!
ヴィクトリーナ姫路のチーム作り
選手との契約は?練習場所は?
選手との契約は、全選手に対して、プロ契約を結ぶ予定で、現在は引退選手や移籍などでメンバー集めを始めているそうです。練習は、姫路市にある「ウインク体育館」を拠点に今月6月から始まるそうです。
これからの試合は?Vリーグ昇格は?
まずは、2017年のVチャレンジリーグ2部(Vリーグ3部)に参加し、Vリーグ機構への準加盟入りを目指すそうです。さらに、2019年に、チャレンジリーグ1部の昇格、そして、2020年にその上のプレミアリーグを目指すことになりそうです。その頃には、きっと、全日本代表選手もいることでしょう。
チーム作りは?
忌憚なく選手の意見を取り入れる雰囲気を作り、「年齢に関係なく、学ぶべきは学び、そこから視野を広げられるような」柔軟な姿勢でチーム作りを進めていくつもりだそうです。
著書の「セッター思考」で書かれているように、『周りを支える喜びを自分の喜びに変える「セッター思考」の重要性に改めて気づき、“人と人をつなぐ技術”は、きっと会社でも役立つし、友人とのつき合いや家庭でも使えるはず……。』とおっしゃっております。
この「セッター思考」をどこまでチームに浸透させることができるのかが、今後のチーム作りの鍵になるのではないでしょうか?
全員がアタッカー型やリベロ型では、チームは決してうまくいかないからこそ、一人ひとりを輝かせ、チームを、組織を、そして日本を元気にする「セッター思考」をぜひとも、チームに浸透させて、2020年の東京オリンピックでは、全日本代表メンバーを輩出してほしいです。
どんなチームになるのか、今から楽しみです。
バレーボールの普及活動
現在、竹下さんをはじめとして、ロンドンオリンピックの同士であった「井上香織さん」、「大友愛さん」、「佐野優子さん」たちとユニット「ヴィクトリーナドリームス」を結成されているそうです。
全国20箇所で、女子中学生を中心にバレーボール教室を開いて、4人を監督としたチームを作り、それぞれのチームメンバーを一般公募する「森永乳業杯ツアーオブバレーボール」というツアーが始まるそうです。
これは、未来の全日本代表選手を目指す中学生にとってはとてもやりがいのある試合ですね。
こちらも楽しみです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
竹下佳江さんは、身長の低さをものともしない、素晴らしいジャンプ力が強烈な印象でした。そして、的確なパス。
アタッカーの打ちたい場所、タイミング全てにおいて完璧だったと言われています。
そんな、世界を代表する「名セッター」は、きっと、指揮官としても「名監督」になると期待しています。
今後の、「ヴィクトリーナ姫路」を応援していきたいと思います。
そして、2020年東京オリンピックで、活躍する姿を期待しています。
では、また。