システム開発に限らず、仕事をする上で、作業を効率的に行うことが推奨されます。
ムダや間違いを極力なくすためにも、単純な作業は効率化すべきです。
ですが、効率化しないほうがよい場合も多々あります。
今回は、作業を行う上で、効率化すべき場合としないほうがよい場合について、その見極め方を考えてみましょう。
効率化とは何か?
そもそも、この「効率化」とはどういうものなのでしょうか?
ほとんどの人が分かっていることだとは思いますが、改めて問われるとどう答えるでしょうか?
ムダを省くことでしょうか?
それとも、時間を短縮するための方法でしょうか?
どちらもその通りです。
しかし、本来は、「効率化」、あるいは「効率的に」というものは、対となるものがあって成立するものなのです。
その対となるものとは、「効果」です。
ムダを省くことも、時間を短縮することも、その先にある目的を果たすための手段であり、効果は、その達成度だとイメージしてください。
例えば、15:00から進捗会議があるから、会議資料を大至急100部コピーしてくれないか?とあなたに、リーダーから言われたとします。今は、14:30です。
進捗表は、A3サイズで10枚ほどあります。普通に考えれば、30分ではかなり厳しいのではないでしょうか?それをリーダーがむちゃぶりしています。
いきなり、むちゃぶりするなよと腹が立つかもしれませんが、ここは、いかに効率よくコピーができるかを考えてみてください。
コピー機は、両面印刷も自動送り機能もついているタイプが2台あります。
ここで、普通は1台でコピーを取ると思いますが、緊急性の高い作業であるため、30分だけ専有させてもらい、2台フル稼働させるということを考えついたとしましょう。そして、その甲斐あって、無事15:00の会議に間に合わせることができました。
2台のコピー機を使い、本来ならば、30分以上かかるコピーを30分で終わらせることができまたのです。
この場合、目的は、「進捗会議の資料を15:00までに100部コピーする」ということになります。
そして、2台のコピー機を使うことで作業の「効率化」を図ったことにより、その「効果」として15:00に間に合うことができたのです。
このことから、効率化とは、一見、目的を達成させるのが困難だと思われる場合の解決手段であり、効果とは、効率化を図ったことによる達成度だということが理解できると思います。
効率化してよい場合とだめな場合を見極める考え方
効率化とはどういうことかを理解した上で、次に、効率化したほうがよい場合とダメな場合を考えてみましょう。
単純に、作業を効率を上げると聞くと、効果がありそうに聞こえます。
しかし、果たして、効果があるのか否かです。
簡単な見極め方として、この「効果」があるのかないのか、達成できるのか否かを考えるということです。
この効果がある場合は、効率化を図ったほうがよいと言えます。逆に、効果がない、もしくは見込めない、あるいは、悪化するような場合は、効率化すべきではないのです。
先の、コピーの例では、効果がありました。ですので、効率化したほうが良いということです。しかし、この場合はどうでしょうか?
プログラマーのAさんが実装で3日遅れを出してしまいました。この遅れを取り戻すため、土日休まずフル稼働で出勤してもらい、挽回してもらうようにリーダーが指示をしました。
また、Aさんひとりでは、挽回できないため、サポートとして、Bさんにも手伝うよう指示し、2人でやれば効率よく遅れを挽回できるとリーダーは考えたのです。
しかし、結果は、遅れは挽回するどころか、さらに遅れが増えてしまいました。
理由は、BさんがAさんのサポートをするために、仕様やら作り方やら、色々と聞くことになり、Aさんにとっては、自分の作業が進められず、結局、Bさんに教えることがメインになってしまいました。
Bさんも覚えるのがやっとで、実際に実装できるレベルまでいきませんでした。結局、土日は無駄に終わったのです。疲れだけが残りました。
この場合の効果はどうでしょうか?1人のところを2人で行えば、効率よく作業ができると思ったリーダーでしたが、効果が上がるどころか悪化しました。
ということは、この効率化はだめだったということになります。効率化すべきではなかったということです。
これらのことから、効率化すべき対象とは、あくまで機械的な作業である必要があるのです。
人の気持ちや感情などが介在してしまうと、予測できないことが起こりえます。その結果、効果がでないことになるのです。人の気持ちやモチベーションは効率化できないのです。
人の気持ちやモチベーションを上げて効果を上げるには、効率化ではなく、人の温かい優しさだったり、熱意だったりするのではないでしょうか?
このことを忘れず、効果を上げるために、作業の効率化を図るようにしてください。
カテゴリ:作業効率