システムエンジニア、プログラマー、プロジェクトマネージャー、ネットワークエンジニア、データベースエンジニア、システム管理者等々、これらを総称して「ITエンジニア」、または「IT技術者」と呼んでいます。
ITの世界には、様々な職種があります。そして、非常に仕事の範囲が曖昧なのがITエンジニアの特徴とも言えます。
プログラマーという立場の人であっても、データベースの設計をすることもありますし、システム管理者としてサーバーの構築などをすることもあります。
SE(システムエンジニア)であっても、実際には、プロジェクトマネージャーを兼任していたりします。
こうした横断的な仕事の範囲がIT業界の特徴であるが故に、○○の専門家という意識が希薄になっているように感じます。自分はいったい何の専門家なのだろうかと。あるいは、まったく意識したことがない人もいることでしょう。
ここでは、専門家としてのITエンジニアとはなんなのかについて考えてみたいと思います。
IT業界の労働スタイルは?
様々な仕事や職種、立場において、3つの労働スタイルがあると言われています。
例えば、建設業の工事現場などでは、体をつかった肉体労働が主流ですし、製造業の生産ラインでは、流れてくる製品に対して、少しずつ加工していくような作業を行います。これは、単純労働と呼ばれるスタイルです。
そして、医者や弁護士、教師など専門性の高い仕事を行う場合は、「知識労働」と呼ばれます。
ただし、この3つのスタイルは、業界によるものではなく、部門や役職等によるものと考えます。
ゼネコンと呼ばれる会社は、建設業ではありますが、そのほとんどの人は、どこに何を建設して、社会的貢献により、儲けをどう生み出すかとことを考えることが主流になると思います。これはいわゆる「知識労働」になります。
また、工事現場で働く事務員は、肉体労働ではないはずです。知識労働または単純労働型ではないでしょうか?
そして、われわれのIT業界においても同様のことが言えます。
ユーザーの要望を聞き、システム化をするために要件を詰め、設計やプログラミングをしていく流れでは、「知識労働」ですが、テストの実施は、どちらかという単純労働になります。
そして、障害が発生したあとは、直るまで帰れないという地獄が待っています。終電や徹夜が続くなども珍しくありません。こういう状況は、知識労働ではなく、肉体労働になっています。限界への挑戦!のようなイメージです。
ITエンジニアが知識労働者となる意義とは?
一般的には、ITという専門性の高い分野を仕事にしている我々ITエンジニアは「知識労働」の部類に入るはずです。
しかし、現実は、誰もユーザーのことを考えるでもなく、自分の技術だけに関心をもつ、いわば周りは敵だらけのようなシステム開発の現場においては、知識労働者の集団ではありません。
リーダーやSEが指示し、それだけを行うメンバーたちがいる。
これが、ほとんどの開発現場の実態です。
ここに、「知識労働」は存在していないと思いませんか?
封建的な上下関係で成り立ち、下のものは皆、肉体労働または単純労働を課せられているという図式が見えてきます。
こうした現実があるため、ほとんどのITエンジニアは、専門家という意識がないのです。
意識できるはずがありません。誰もそういう教育を受けてないということもあるでしょう。
ですが、経営学者の「ピーター・ドラッガー」氏の著書「プロフェッショナルの条件」にもありますが、「知識労働者は専門家であり、その専門性を発揮できたときに成果を発揮する」、「専門家は専門家として貢献する責任がある」と述べられています。
つまり、知識労働者として、ITエンジニアが、ITでユーザーに、社会に貢献する責任があると言えます。
ここに、我々がITエンジニアとして、知識労働者としてユーザーに社会に貢献する意義があるということです。
決して、肉体労働や単純労働者ではなく、「知識労働者」として貢献していくことを意識してください。
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